赤点 Ep5

おやじの目覚め

春になって待ちに待った入学の日がやってきました。

生活があるので昼間何かしらの仕事をしながら夜学に行くと決めていましたが治療院で働きながらの学生生活は、想像以上にハードなものでした。

5時過ぎまで働いて、電車に飛び乗り月曜から金曜日まで2限の授業を18時から21時まで受講しました。帰宅して風呂と食事を済ますと11時を過ぎます。疲れているので予習復習どころではありません。翌日も早いので寝ないと体が持ちませんでした。

「勉強いつするの?」

「勉強の仕方は?」

「ノートの取り方は?」

あっという間に夏がきて前期試験が始まりました。

結果は、惨敗でした。

解剖学では、赤点を取りました。どうしても骨の名前が覚えられなかったのです。腕の上腕骨とか尺骨とかは、覚えやすい方ですが頭の骨なんか教科書の図を見ただけでは、まったくイメージできないのです。

赤点を取ると追試が待っていました。その追試を受けるのには、お金が掛かったのです。1科目3000円取られました。

中年オヤジの記憶力は、確実に低下していました。

骨の名前を覚えるために、人体骨格模型を買いました。骸骨です。その模型と教科書を照らし合わせて覚えました。

若い学生からノートの取り方や勉強の仕方を教えてもらいました。 

勉強時間が足りないので昼食をとりながら、通勤通学時間に教科書を広げるなど二宮金次郎状態が続きました。

その甲斐あってか、その後の試験では赤点を取らなくなるどころか、成績がグングン上がり席次は、若者に交じり常に上位にありました。

その時に思いました。

「勉強面白い!」

学生時代、そんなこと一度も思ったことありませんでした。

中年になって勉強することの楽しさを知ったオヤジでした。

因みに、生理学が一番面白くて成績も良かったです。

実技は、並みでした。

To be continued.

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