高を括る Ep33
愉快・爽快・オルゴン療法
一年以上足の末梢施療を続けていたら、グイグイ力を入れて擦っても平気になっていました。だから先生に施術されてもそんなに痛くないだろうと高を括っていました。
仰向けに寝るなり前説があると思いきや行き成り来ました。
最初の一撃で「ウォー」と叫んでいました。
リングの持ち方、使い方など一切説明なしです。
身を起こして先生の手の動きを見ようとするのですが脳天に突き抜けるような痛みの連続です。
いっぺんに体中から汗が噴きだしました。
あまりの痛みに畳を叩いていました。
プロレスだったら、とうの昔にギブアップです。
その勢いで腕にはめていたリングが何処かに飛んでいきました。
それでも何とか手許を見ようと身を起こすのですがその度にカウンターパンチが飛んできます。
「俺は何しに来たんや?見ないと!見ないと!」
「痛い!痛い!痛い!」
「オー」「ワー」「ギャー」
途中からあまりの痛さに考えることすら出来なくなっていきました。
気がついたら笑っていました。
痛いのですが可笑しいのです。
絶叫にゲラゲラ笑いのミックスです。
施術が終わると「鏡を見てきなさい」と言われました。
「憑き物が落ちたような顔」とは、こういう顔を言うのだと思いました。
男前が更に男前になっていました。
今風に言うならパソコンのデーターがすべて飛んでしまい、頭の中は真っ白に初期化された感じです。
「愉快、爽快、アホかいな!」
初夏の早朝のような清々しい気持ちになっていました。
To be continued.