黄色い歓声 Ep7

転機

3年間の学生生活は、アッという間に終わってしまいました。

今思えば、人生で一番充実した3年間だったかもしれません。

国家試験にも無事合格して、厚生労働大臣の名前の入った免許証が交付されました。

勤め先の院長が「引き続き来ますか?」と言うのでお世話になることにしました。給料も少し上がりました。

その時、治療院に来られない患者さんへの往診が始まりました。往診になる方は、通院困難で高齢者の方ばかりです。孫のような若い先生が往診に行くと、話も合わなくてあまり評判がよくなかったのです。

その点、免許取り立て初心者マーク付きの私が行くと見かけは、ベテランですから安心されて会話も弾み評判が良かったのです。そんな理由で往診の仕事が徐々に増えていきました。

その頃、介護保険制度がスタートして、あちこちに介護施設が建ち始めていました。

営業熱心な院長が介護施設の仕事を取ってきました。

一つの施設で何人もの方を施術できるから効率良く稼げる美味しい仕事だからです。

個人宅と施設の往診で一日のほとんどを外で過ごすようになりました。

施設の入所者は、ほとんどが女性です。

なぜか、おばあちゃんにはモテモテでした。

往診に行くと「キャー先生来てくれた!」

と黄色い?歓声が上がりました。

ある時、施設長さんから「専属で来てもらえませんか?」とお誘いがありました。

専属と言うことは、独立開業になります。今お世話になっている所に後ろ足で砂をかけるような事になるので迷っていたら施設長の方から上手く断るからと言ってくれたので独立することにしました。

大阪市内にさくら鍼灸院を開設しました。

施設の従業員の皆様も治療に来てくれたので家賃も払えて何とか回りだしました。

To be continued.

その時飼っていたコーギーのさくらちゃんです。

役職は、副院長でした。

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