血管と血流 その5 Ep67
人は毛細血管の減少とともに老いる
二十歳の時の毛細血管量を100としたら、年とともに減少して還暦を迎えるころには、60%になると言われています。
なぜ減るのか?
毛細血管の構造をもう一度見てみましょう。
正常な毛細血管は、内皮細胞がジグソーパズルのようにかみ合い接合部分から血液成分が染み出て細胞に栄養を運んでいます。
内皮細胞がバラバラにならないように壁細胞が周りを取り囲んで補強しています。
老化、血行不良などが重なると内皮細胞を補強していた壁細胞がめくれてきます。
補強を失った毛細血管は、樽のタガが外れたように血液成分が漏れ出します。
毛細血管を水道網に例えるとお家の手前で水漏れが起こり断水になったとします。
すると直ぐに水道局がパイプを取り換えてくれるので蛇口を捻れば水がでるようになります。
しかし、災害などで長期的な断水になったらどうなるでしょう?
蛇口はさび付き、やがて水の通らなくなった水道管は埋もれて、役目を終えてしまいます。
これと同じことが毛細血管でも起こります。
川上にある毛細血管から血液成分が漏れ出すと川下にある毛細血管には、血液が流れてこなくなります。
毛細血管は、役目を失い自ら消滅していきます。
毛細血管のゴースト化です。
毛細血管の主な役割は、全身の37兆個の細胞に酸素と栄養を供給して二酸化炭素と老廃物を持ち帰ることです。
その役割を担っている毛細血管が減ると新陳代謝が低下します。
新陳代謝(しんちんたいしゃ)とは、古いものが新しいものに次々と入れ替わることを言います。
主に細胞自体の入れ替わりを意味する言葉です。そして、新陳代謝は、生命維持に不可欠なものです。
「細胞の新陳代謝」の周期は部位によって異なる。
ウィキペディア
- 胃腸の細胞は約5日周期
- 心臓は約22日周期
- 肌の細胞は約28日周期
- 筋肉や肝臓などは約2ヶ月間の周期
- 骨の細胞は約3ヶ月周期
細胞の新陳代謝が正常であれば身体は3ヶ月で新しく生まれ変わるはずですが毛細血管の減少に伴い狂いが生じてきます。
老いと病の始まりです。
To be continued.